6月1日に大阪で行われた「帯状疱疹予防セミナーin大阪」に参加してきました。

帯状疱疹とは体内(神経)に潜伏している水痘-帯状疱疹ウイルス(varicella zoster virus)の再活性化によっておこる疾患で、皮膚に分布している神経にそった帯状の水疱と紅斑を特徴とする疾患です。80歳までに3人に1人が発症するといわれていますが、強い痛みを伴うことの多い疾患で、またその痛みが年余に渡って持続し生活の質を大きく損なうことがあります(帯状疱疹後神経痛 と呼ばれます)。また合併症として顔面神経麻痺や網膜壊死による視力喪失などがあり、ただの皮膚疾患と油断することができず、予防がとても大切です。

旧来型の弱毒生ワクチンは安価ですが発症リスクの高い高齢者における有効性が低いことや効果の持続期間が短いことが指摘されています。2018年に承認された組み換えサブユニットワクチン(シングリックスⓇ)は10年以上の長期にわたって帯状疱疹の発症リスクを1/10程度にまで抑えてくれますので、高価ではありますが帯状疱疹ワクチンを希望される患者様にはこちらがおすすめです。

関節リウマチや全身性エリテマトーデスなどの疾患で免疫抑制作用のある薬剤を使用されている患者様はとくに帯状疱疹の発症リスクが高まりますが、前述のワクチンはそうした患者様でも安全・有効に使用できます。

 

帯状疱疹とは「元気に過ごしていた高齢者に思いがけず突然発症し、合併症や長期の(場合によっては治ることのない)神経痛によって生活の質を急激に低下させる」病気だということを、先日のセミナーに参加して実感しました。予防が何より重要ですので、帯状疱疹やワクチンについて少しでも気になっておられる方は、ぜひお気軽にご相談ください。

ヘルペスと帯状疱疹 Q1 – 皮膚科Q&A(公益社団法人日本皮膚科学会) (dermatol.or.jp)

帯状疱疹と帯状疱疹ワクチンについて 東京都保健医療局 (tokyo.lg.jp)